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 早起きをして薄暗いうちから家のまわりの掃除を完璧にすませておくのには、笑うに笑えない理由があった。そこまでして周囲に気を遣う必要もほんとうはありはしないのだろうが、いちどはじめたことを途中でやめて、あらぬ噂でも広められたら癪ではないか。なにごとにつけても最大限の注意を払わないと、どこの馬の骨ともわからない小僧が市の一等地に家を与えられてひとり暮らしをしているというだけで注目を浴びているのだから、ちょっとしたことがすぐに反社会的と批判されてしまう。
 夜間ふらりと出歩いたり、ゴミを路地に放置するなどもってのほか。月夜の散歩も当分のあいだ自粛だろう。生活リズムを変えることひとつとっても、危険に直結しかねない。この界隈で暮らすならば、無害であることをすべての住人に周知徹底しておく必要があるのだ。
 自分でもいささか神経質に過ぎるとは思う。目が覚めているあいだはつねに、ありとあらゆる悪いケースを即時起こりえるものと想定している。他人から見たら相当な悲観論者、あるいは臆病者にちがいない。けれどもこの後ろ向きな習慣は、人が聞いたら驚愕するほどの長いあいだ、テッドの身を守ってきた。そう、これこそがテッドにとって、信頼するに足る処世術というやつだったのだ。無駄に経験を積んでなどいない。
 朝は苦手だ。寒い季節はとくに。一日くらいさぼってもいいじゃないかとささやくあたたかい毛布を未練たっぷりで抜け出して、マフラーと毛糸の手袋を装備した。グレミオが編んでくれた手製の品である。グレミオはれっきとした男なのに、こういう家庭的なことが大好きらしい。料理につけてはどの奥様連中をもひれ伏させる凄腕である。まったく、男にしておくのが惜しい。
 革手袋は年がら年中手放さないけれど、冬はこういうのもいいものだ。マクドール将軍家の長男坊と色違いのおそろい。どう考えても分不相応なプレゼントだが、むこうがいいと言うのだからへたに遠慮するとかえって気まずい。つつしんで頂戴することにした。
 ほうきを持ってドアをあける。初冬の冷たい空気がぴりぴりと肌を刺した。幾重にもつらなる屋根ごしに、東の空がこれから昇る太陽をひとあし先に迎えてオレンジ色に輝いていた。今日もよい天気になりそうだ。
 石畳は落ち葉の山だった。毎朝きちんとかき集めても、街路樹はつぎからつぎへ葉を落とす。放っておいても風情はあると思うのだけれど、グレッグミンスターの市民はこの石畳をなぜだかとても自慢にしていて、落ち葉の掃き掃除に従事することは彼らの存在意義にも結びつくのであった。ならばわずらわしい街路樹など最初から植えなければよいのに。
 これほど栄えている都市にもかかわらず、合理性が美徳とされない、グレッグミンスターはそういう気むずかしい街であった。帝都の中心となる王宮にテッドはまだ行ったことがなかったけれど、マクドール家嫡男の目撃談によると、床はつるつるぴかぴかで継ぎ目がどこにも見あたらず、壁は荘厳な大理石だという。城は帝国が興ったときの建築物だろうから歴史はまだ浅い。少なくともテッドが生まれたときには今のものではなかったはずだ。だが城塞都市グレッグミンスターは、この街がその名で呼ばれるずっと以前から、今のような姿だったという。
 古い伝統をよしとし、国をあげて保護し、次世代につなごうという気概を、テッドは好ましく思った。赤月帝国というところはもっと若く荒々しく前衛的な、よくない言いかたをすれば浮き足立っているような先入観があったのだ。
 さまざまな情報をもとに憶測するのと実際に目にするのでは大きな隔たりがある。旅に限ったことではない。
 頭で思い描いていた赤月帝国よりも、いまほうきで掃いているこの街角は何倍も居心地がいい。
 むこうから毛玉から脚が生えたような犬を連れているおじいさんが歩いてきた。いつもこの時間、散歩をさせている。おじいさんの名前は知らないが、犬の名前はクンタで、こちらもかなりのおじいさんだ。
「おっはようございまーす、けさも冷えましたね。よっ、クンタ」
 テッドは自分から声をかけた。クンタははっはっと白い息を吐きながら、テッドにまとわりついた。
 この程度の接触を積極的におこなうのは、よけいな印象を残さないための逆説的手段であった。そのあたりをテッドはきちんと計算していた。
「おはようさん。いつもえらいね」
 毎朝、ほぼ同じせりふを繰り返す。今日がきのうと変わらないことを確かめあう、老いた者どうしの儀式である。
 近所には今日もテッドが日課をつとめあげているかわざわざ確認する者もいる。名の知れた将軍さまが援助しているといっても、よそ者にはちがいないからだ。戦災孤児というもっともらしい噂が立っているからことさら心配なのだろう。
 もしこの界隈で空き巣騒動が起きようものなら、まっ先にテッドが疑われる。テッドを快く思っていない連中がここぞとばかりに吠えたてるだろう。マクドール将軍は弁護してくれるにちがいないが、できることならば彼の手は煩わせたくない。かっとなりやすいグレミオが口をはさんだら、さらにややこしいことになる。
 マクドールの家はこのあたりでは特別の存在だ。だれもが注目している。なんといっても五将軍のひとり、百戦百勝のテオ・マクドールがあるじなのだ。
 人々にはさまざまな思いがある。尊敬や畏怖ばかりではない。なかには他人の地位を羨む者もいる。特別とはいつもよいことばかりではないのだ。将軍のひとり息子、ルーファス・マクドールも跡取りというただそれだけのことで、友だちのひとりもできずにいる。
 もとはといえば、そんな息子の話し相手にと請われたのがはじまりだった。グレミオのように住みこみで屋敷の雑用をこなすことを期待してくれたのかもしれない。でなければあんな猥雑な界隈を野良犬よろしくさまよっている子どもに大将軍どのが声などかけるはずがない。
 テオの真意をさぐる目的もあって、甘い言葉をいちいち突っぱねてみせた。ひさびさに堪能する、大人の駆け引きだった。スキあらばぎゃふんと言わせようと食ってかかったテオ・マクドールは、期待した名ばかりの中間官僚ではなく、真に頭脳戦の天才だった。対するこちらは経験値だけが勝負どころだったので、予想外の苦戦を強いられた。
 互いに相手がただ者ではないと認めたあと、二人はがっしりと男と男の握手を交わした。
 立場や年齢の差など問題ではない。テオも、そう感じたにちがいない。
 けれどもテッドは、マクドール邸に住むようにとの申し出をきっぱりと断った。そこが最低限のラインだと判断したからである。将軍家の内部のことは、皇帝にも逐一報告されるだろう。どこから情報が諸国に漏れるかわからない。テッドがこの街にいるということを、だれにも悟られてはならないのだ。
 もちろん、いまだに慣れることのできない根源の恐怖もあった。特定の人物に情がうつることは、己の意志だけでは回避できない。いくらこちらが無視をしても、むこうが好意を持てば同じこと。どの程度なら安全で、どうなったら危ないのか、過去の教訓として理解はしているつもりだ。油断はけしてあってはならない。危惧されるのは、ずいぶん長いあいだ”喰う”瞬間のあのおぞましい感覚から縁遠くなっていることだ。傷みを忘れかけているといっても過言ではない。慢心のかけらは過剰であっても戒めるに越したことはない。
 テオが手配してくれた空き家は、恐縮するほどもったいない物件であった。暮らしに必要なものはひととおりそろっている。家賃と生活費は心配せずに、すべてまかせるようにと釘をさされ、これまでの人生でおそらくもっとも恵まれたひとり暮らしがはじまった。
 とはいっても、テッドの生活はこれ以上考えられないほど質素なものだった。どんなに居心地がよくとも長居ができないことははじめから承知の上である。発つときに思い出となるものを残していくことは好きではなかったので、コップひとつ新たに買い足すことはしなかった。
 ルーファスが頼みもしないのに持ちこんだ花瓶やケーキ皿が備品というならばそんな感じで、それすらもふだん使いにしなければ生活感など微塵も発しない。ひとりで花を活けてもしかたがないし、わざわざ買ってまで甘い物を食おうなどと思わないからだ。
 ルーファスにも指摘されたが、テッドの住まいにはぬくもりがない。寝に帰る場所に過ぎないのだからしかたがないとは思うが、ルーファスにはそこが理解の外側らしい。この議論はどこまで進めていっても永久に平行線であることを二人は認めている。まったく異なる二人の境遇は、けして相容れない価値観を育んだのだ。ルーファスだって持論はきちんと主張するが、テッドには通用しないことは噛みしめているはずである。
 テッドにとっても、ルーファスにとっても、本来ならば意にも介さない相手のはずだった。テオ・マクドールに引きあわされたときの一種独特な空気は思い起こすたびに笑みがこみあげてくる。きっとむこうも同じことを感じたにちがいない。
 きのうまでドブネズミさながらだった孤児を小綺麗に磨いて息子に会わせて、今日からおまえの友だちだよと臆面もなく言ってのける将軍も将軍だが、そのあと展開された少年たちの演技合戦はさらに上等だった。
”はじめまして。テッドだね。ぼくはルーファス、よろしくね”
(呆れた父上だ。また素性のしれないやつを連れてきて。今度はどこで買ってきたんだろう)
”……どうも”
(なんでこんなボンボンとねんごろにならなきゃいけないんだ)
”テッドが来てくれて、うれしいな”
(どうせうちの財産目当てなんだろ。すぐに追い出してやる)
”よろしく……”
(せいぜい友だちごっこに興じてくれ)
 事実、ルーファスは柔和な顔立ちに似合わず冷酷な少年に見えた。感情をあまりおもてに出さないからだろうか。友だちのひとりとて遊びに来る様子はなく、きっと高慢な性格が災いしているのだろうとテッドは邪推した。
 ちやほやされて育ったのだから、なんでも一番でなければならないという厄介な少年にちがいない。女の子に好かれそうな外見も、きっといいものばかりを食べているからああなのだ。身につけている服だってシンプルだが高価なものじゃないか。高等教育の賜物か、非の打ちどころのないお坊ちゃん。テッドのことなど使用人扱いして当然。いや、あんがいそれ以下かも。
 ところがこの予測はみごとなまでに外れた。
 またしてもいらぬ先入観が目をくらましたのだ。
 イメージを先走らせると失敗ばかりする。一度きりの失敗で済めばそれでいいけれど、そういう小さい失敗の繰り返しが知らず知らずのうちに己を弱体化していく。人を判断するのはとくに難しい。経験を持ちだしてもぴたりと当てはまらないことがほとんどだ。
 ここしばらく、テッドはいてもたってもいられない不安感に悩まされていた。
 赤や黄色の落ち葉を集め、ちりとりに山と乗せる。
 毎日、やってもやっても終わらない単純作業が、どうして楽しいのだろう。今日一日のスケジュールを考えるのが、これほどわくわくすることだったろうか。
 これまでとは、”違う”。
 楽しいだって。わくわくする、だって? ばかげている。
 ルーファスには将軍家の跡取りとしてのつとめがちゃんとある。テッドがまだ眠っている時間から起きだして、中庭で黙々と棍の稽古をする。朝食が済んだら書斎で知識の習得だ。赤月帝国の歴史や政治のなんたるかを頭に叩きこむ。昼過ぎにそれが終わって、ようやく自由時間がもらえるのだ。
 テッドが来るまでは、午後も父親の書斎に引きこもって本ばかり読んでいたらしい。どうして外へ出てみんなと遊ばないのかと訊くと、かわりにグレミオが耳打ちしてくれた。
 ルーファスがまだ幼いころ、政治目的で誘拐されたことがあるそうだ。それまでのルーファスは子どもらしく奔放快活で、友だちもたくさんいるやんちゃな少年だった。よっぽど恐ろしい目に遭ったのだろう。救出されたルーファスは、わが身を省みず敵地に乗りこんできたグレミオが大乱闘の末に傷ついて血を流すのを、がたがたとふるえながら凝視したらしい。
 自分は大人の世界に利用される立場にあること、人と同じでは許されないこと、甘えたら大切な人を傷つけてしまうことを、幼いルーファスはいちどきに悟ってしまったのである。
 その日からルーファスは、友だちをみずから遠ざけるようになった。
「坊ちゃんは、とってもやさしい子なんです。寂しくてしかたがないんです」
 グレミオがかばうまでもない。テッドにはルーファスの苦悩がわかるような気がした。グレミオの頬に残るその深い傷を見るたびに、ルーファスは己に言い聞かせてきたのだろう。甘えてはいけない。人と同じではいけない。立派な将軍にならなければいけないと。
 冷ややかに見えるのも、感情が読みにくいのも、ルーファスが必死にそれを隠しているからだ。ほんとうは脆く、壊れやすい少年なのかもしれない。
 ある意味、自分に近いのかも。
 ルーファスは自分とは別次元の人間だ。テオ・マクドールにかいま見たカリスマ性を、息子もみごとに継承している。彼にはなんとしてでも大成してほしい。それは友人としての願いでもある。
 そのためには、テッドの存在はないほうがよいのではないか。
 貴重な自由時間を釣りや冒険でフル活用するのは、とてつもなく楽しい。ルーファスも生き生きとしている。それは果たしてよいことなのか。それとも、不必要な時間なのか。テッドには、それがわからない。
 机上の理論をいくら雄弁に語っても、実力がともなわない者は大物にはなれない。ルーファスは武芸もそつなくこなすけれど、いかんせん実践経験が足りない。テッドに言わせれば、サバイバルは遊びが基本だ。外で遊んだ経験もなく生き残れなどといわれても、舫綱(もやいづな)の結びかたを知らずに海に乗りだすようなものだ。だからルーファスにもっとも欠けていると思われる部分を、テッドは意識して刺激するようにした。いわば、わんぱく少年どもが親の目を盗んでやるようなことを、だ。
 そこまで干渉することは果たして正解なのだろうか。一日が終わりまたひとりになり、ベッドにもぐりこむといつもそれを考える。身についたクセのせいでぐっすりと眠ることはない。不安を抱きながらうつらうつらするうちに、朝が来る。
 もしかしたら、そろそろこの街を離れる頃あいなのか。いや、少し早すぎる。身体の異常はマクドール家の人々には勘づかれていない。
 石畳につもるたくさんの落ち葉。やがてこの上に雪が降るだろう。トラン地方の冬は思いのほか厳しいらしい。なにもこれから寒くなるこの時期に、出ていくことはない。春になったらまた、考えればいい。
 迷っては、それを打ち消す。打ち消したのに、また迷う。不安と否定の繰り返し。
 眠れぬ夜。それでもやってくる朝。
 ルーファスと遊ぶ時間は自分でもうろたえるほど楽しい。第一印象のうさんくささを笑いとばすかのように、二人は呼吸がぴったりと合った。ルーファスがボケて、テッドが突っこむ。だけどテッドのスキをついて、ルーファスが無邪気にトドメをさす。時にはエスカレートして二人とも絆創膏だらけになったりするけれど、それはそれで合意の範疇だからよしとする。
 友だちごっこに溺れているのは自分のほうだ。きっと、つけが回ってくる。かわいそうなルーファスはなにも知らされないまま、むごくも犠牲となる。どうしてこれほどわかりやすいシナリオを、否定しなければならないのだろう。逃れる道など、どこにもないというのに。
 いまこうしているあいだにも、ソウルイーターは宿主の心を察知して、望みを叶えるべく虎視眈々と機会をうかがっているにちがいない。
 どんなに遅くとも、次の春。
 春が来ると、ルーファスは十六になって帝国兵としての勤めに従事する。もはや子どもではいられなくなる。名に甘んじて遊んでいたら足をすくわれる。大人の世界とはそういうところだ。
 それまでの数ヶ月を正当化するために、テッドはざわめく心をわきへ追いやった。
 友の魂をむざむざ喰わせたりはしない。
 青い毛糸で編まれた手袋が、握りこぶしをつくる。
 テッドは右手に、静かに命じた。
 ソウルイーター、ルーファスに手出しはするな。彼には使命がある。成さねばならぬことがある。
 もしも、どうしてもというのなら―――
 ふと思い描いたそれに、テッドは戦慄した。
 ばかな。あり得ない。
 ソウルイーター、いまのはなしだ。聞かなかったことにしてくれ。
 ほうきを乱暴に立てかけて、テッドはドアを閉めた。
 動悸がおさまらない。呼吸ができない。胸が苦しい。
 胸の上で両手を交差させ、激しくあえいだ。
 落ち着け。落ち着け。大丈夫だ。さっきのは本意ではない。ぜったいに、そんな結末は望まない。
 正常な呼吸ができるようになってからも、テッドはしばらくのあいだうずくまったまま動かなかった。いつのまにか窓から陽が差しこんでいるのに気づいたテッドはこわばった手を胸からはずし、ふらりと立ちあがった。
 水差しから薄氷の張った水をコップに移し、ひとくちだけ飲んだ。
 視線の端に、小さくまとめられた荷物が映る。
 いつでも旅立てるように、ここへ来たときからすでに準備されている。最低限の道具と弓矢が一式。ベッドの下に押しこんでいるから、たぶんルーファスは気づいていない。
 すべてを振り切って、これだけを背負うことができたならどんなにかいいだろう。
 ずっとそうしてきた。ずっと。いつでもひとりだった。
 こんな思いをしたくないから、人とは関わらないようにしてきたのに。
 やはり慢心があった。一瞬とはいえあんな突拍子もないことを思い浮かべた自分をテッドは叱責した。
 自分以外にだれが、紋章を守れるというのだ。
 おれが守らなきゃいけないんだ。おれが。あいつではない、おれが。
 雪の結晶をかたどった模様を編みこんだ、その下。
 テッドは手袋をするりととった。
 右手の甲にしっかりと焼きつけられた黒い痣をぼんやりと見る。
 呪いとか、摂理とか。
 どんな言葉をもってしてもこれだけは説明がつかない。
 ただひとつだけ言える。この痣は、テッドの一部なのだ。
 これを継承したばかりに苦しみ、絶望し、涙も枯れ果てた。けれど、忘れたくはない。これはいつもテッドとともに在り、テッドを生かしてきた。どんなときでも、傍にいた。
 いちどだけ裏切ったときも、テッドを責めはしなかった。
 責めるわけがない。この中には、その時代ごとにテッドのもっとも近くにあった魂が眠っている。
 目を閉じる。
 右手に神経を集中させる。
 息づいている。数多の魂。生と死の真実が、ここにある。
 テッドの表情から苦しみが消えた。
 そうだ。恐れることはない。もしも運命が思いも寄らぬ方向へテッドを導いたとしても、ソウルイーターを信じればいい。ほんとうに道を逸れたときは、ソウルイーターが、そこに眠る魂が教えてくれるにちがいない。
「行かなきゃ。ルーと約束してたんだ」
 テッドはほほえんで、朝ご飯をしたくするべくミルクの小鍋を火にかけた。


2007-01-17