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当サイトの親友について

坊っちゃんとテッド

ルーファス・マクドール(Rufus McDohl/坊ちゃん)

カリスマ、という評価にとても正当性を感じます。 精神力や戦闘能力において他者より秀でているのは皆の認めるところですが、彼の強さは努力して得たものばかりではありません。 強い星を持って生まれてきたのです。ですが本人はそれを自覚していません。 物語の進むなかで、彼は親友から、すべての元凶となる呪いの紋章を継承します。 やがて襲いくる運命は過酷と言って余りあります。約束された人生を剥奪され、犯罪者として故郷を追われる。ひとりの女性の死に立ち会って遺志を託されると、ルーファスは解放軍の新たなリーダーとなって立ち上がります。やがて誰よりも彼のことを心配していた従者が彼のために命を賭して身代わりとなり、それとともにルーファスの力も増す。身近な人の魂を喰らうソウルイーターの恐ろしさが徐々に明らかになっていく、血も凍るようなシーンです。真の紋章の凶行はとどまることを知りません。実の父親をその手で殺め、戦争という大量殺戮を率いる。ルーファスの手のひらは赤い血で染められていきます。 そして運命は、たったひとりの親友の魂まで彼に喰らわせるのです。 民に崇め讃えられる名と、孤独に埋没していく心。 完成された人格と、底知れぬ狂気を併せ持っています。 漆黒の髪と深淵をのぞかせる瞳。燃えるかのごとき炎赤の民族服。深い闇を連想させる、美しい少年だと思います。

テッド(Ted)

三百年の圧倒的な孤独に耐えた強い人。 けれど、彼ははじめから強かったわけではありません。幼かったあの日、とある女性に言われたことを彼はずっと胸に秘めてきたのです。「テッドくん、強い子になりなさい。決して負けないこと」。うちのテッドは、その長い人生のなかでヤサグレたり、自殺未遂を図ったり、黒いコトをしたりと、けしてお利口さんではありませんでした。絶望し、自暴自棄になり、数え切れないほどの後悔を小さな背中にしょったまま底辺を歩いてきました。 弱くて、脆くて、悲しくて、もう、いいよ……と言ってあげたい。その道の先に親友となる人が待っていなかったら、彼がどんな悲惨な「一生のお願い」を口にしようとも許してあげられたと思います。 彼はルーファス・マクドールとは正反対に、永遠の未完成です。そしてルーファスの狂気を浄化させる、たったひとつの存在であればいいと思います。

Chant

『わたしはあなたに出会い生をうけ、あなたを失い死を知った。』 幻想水滸伝Ⅱをプレイされた方にはあまりにも有名なこのフレーズ。2主とジョウイの物語を比喩している歌詞ですが、これは幻水という物語世界で描かれる出会いと別れすべてに通じると思うんです。 坊とテッド。坊は幼いテッドに、三百年後に必ず生まれてくることを約束します。坊がこの世に生を受けた瞬間です。三百年のあいだ胎内で、テッドに出会う日を待っていたのです。 このフレーズには続きがあることをご存じでしたか? わたしはそれを知って、拙作『ルーファスとテッドの物語』を書きました。興味のある方はアレンジCD、ケルティックコレクション2をごらんください。


初出 2007-05-07
改訂 2023-07-21