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ユミノマお題つき140文字小説集

もうひとつのインビジブル・ハンド 番外/鉄人
twitterで一日一作~二作ずつ書いていた超短編です。たまに題材が……抜けてます。

題材[麗しの,天使,叫ぶ,また会える]ファンタジー風やってみよう!

熾天使は静かに咆哮した。親友、好敵手、そして魂を等しくする君。きっと、また会える。また会おう。ともに笑いあおう。それは密かな約束。だが確かなる約束。彼は微笑みながら墜ちていった。慈愛に満ちた暗闇へと。

題材[囚われた,首筋,見上げる,もう嫌だ]擬人化を取り入れてやってみよう!

囚われた檻の隅で、小さな鼠は背中を丸めていた。陽に灼けることのない白い首筋がわずかに震えている。気配を察したのか、鼠はゆっくりとその頭をもたげて、僕を見上げた。黒い瞳が縋るように語った。「もう嫌だ」――ごめんね、君の願いは叶えてあげられない。悲しまないで、僕の可愛いマウス。

題材[怒り狂った,花,昇る,ここだよ]昔話風にやってみよう!

カリブ海の島にひとりの少年が暮らしていました。彼の記憶する最初の光景は、怒り狂う男性の姿でした。激しく罵られ、撲たれました。でも、痛みや悲しみは不思議とないのです。窓越しに見えた、高く昇った真夏の太陽、そして窓辺の花が妙に鮮明でした。ここだよ。そのつぶやきは誰にも届きませんでした

題材[続かない,丘,重ねる,永久に]ハートフルな感じでやってみよう!

どこまでも終わりのない、頂上など存在しないかのような丘を、俺は登っている。見えるのは限りなく碧い空と、緑のそよぐ地面。これは夢なのだろうか? 夢なのなら続かないでくれ。永久に変わらぬ歳を重ねることへの恐怖を呼び覚まさないで。目よ、覚めろ。覚醒しろ。言ってくれ、おまえは大丈夫だと。

題材[閉じ篭った,口笛,背負う,欲しい]親友をモデルにやってみよう!

「テツって、たまに異世界に閉じこもってるよな」 背後から不意を突かれて、鉄人は心臓がはねあがった。気配すらわからなかった。解離していたのかもしれない。おそらくは。遙兵は背負ったカバンからハンバーガーをふたつ出して、口笛を吹いた。「えびフィレオとてりやき。どっち欲しい?」

題材[洞窟の奥の,箱庭,隠す,今だ]時代物っぽくやってみよう!

焦点のあっていない眼。俺のクライアントだ。ぱっと見少年だが27歳。彼がいま凝視しているのは「箱庭」。遊戯療法のひとつである。配置するもので患者の抱えている問題がわかってくる。彼はトンネルの模型を置いて、そこに一体の人間を隠した。洞窟の奥の人。それはすなわち、現在の彼自身。

題材[雲の上の,夢占い,咲く,ご機嫌よう]普段読む雑誌に合う作風でやってみよう!

夢占い? あほくさ。悪いが占いには興味なしだ。でも、そこまで言うなら、つきあってやってもいい。俺は雲の上を歩いていた。こら、笑うな。そこにはたくさんの真っ白い花が咲いていて、そよ風に揺らいでいた。気持ちよかったな。ふだんの生活よりはるかに機嫌がよかったぜ。ああ、天国だあ? チッ!

題材[懐かしの,沈没船,掻き毟る,気のせい]一次創作でやってみよう!

なんだ、この光景は? 鉄人は頭を掻きむしった。夢? いや、自分は眠ってなどいない。ここ数年、まともに眠ったことなどないのだから。目の前には、巨大な、朽ちた沈没船があった。魚の大群が鉄人を取り囲む。どうして息ができる? そして、気のせいだろうか、奇妙な懐かしさ。ああ、そうか。ここは

題材[洞窟の奥の,信仰,弾き語る,忘れて]二次創作でやってみよう!

闇。ぽつり、ぽつりと浮かびあがる蝋燭の火。洞窟の奥の静寂。信仰の空間。ひとりの老人が異国の楽器を弾き語る――印象的な絵だった。もしくは既視感。以前出会っていれば、忘れるはずなどない。だが、どうしても思い出せない。記憶が揺らめく。故意に消去した記憶でないとすれば、この感覚は……。

題材[最果ての,宝物,乱す,今だ]童話風にやってみよう!

いま居るこの檻から、もっとも遠い――最果ての空が見たい。その望みはすなわち、秩序を乱すということだ。でも、たった一度でいい。だめならせめて夢でもいい。その空はどれだけ蒼いのだろう。どれだけ高く澄んでいるのだろう。生涯持つことのできない体験という名の記憶。けして届くことのない宝物。

題材[取り出された,地図,よろめく,愛してください]普段避けている作風でやってみよう!

よもや地図の読めないバカが三人揃うとは。約一名、もっとも体力のない男はよろめいて目も当てられない有様だ。「だいたいウォークラリーなんつー学校行事、考えたの誰だよ!」―冷静なノエルがぼそりと答える。「理事長だろ」取り出された水筒に反応する死にかけ鉄人。「俺にもくれ!愛してくれぇえ」

題材[つくられた,眼球,旅立つ,死なないで]ボーイ・ミーツ・ガールでやってみよう!

神の手によってつくられた天才は彼を育んだ国へと旅だっていく。その背を見送るもうひとりの天才は、黒いひとみで静かに語りかけた。死なないで。魂をともにするきみ。おれはいつでもここにいるから。もう一度会える日を、ずっとずっと待っているから。声が届いたのだろうか。蒼いひとみが応えた。

題材[轟く,追憶,睨む,愛してる]自分の得意ジャンルでやってみよう!

仔鼠は幼さの残るつぶらなひとみで彼の飼育者を睨みつけた。そうだ、その眼だ。心と身体をどんなに痛めつけても、けして屈しようとしない、激しい眼。いいぞ、もっと刃向かってこい。くだらない追憶がすべてトラウマになるまで。病んでいるきみは美しい。もっと、もっと愛させてくれ、サヴァイヴァー。

題材[続かない,依存,掻き毟る,許さない]自分をモデルにやってみよう!

眠りはつねに浅いところをただよい、持続してくれない。薬物への依存は耐性の形成に至りつつある。管理されているのでなければ、いずれ致死量に達するのだろう。死んでしまえたほうがまだましだ。それはけして許されない現実。清潔なシーツを掻きむしりながら願う。このまま永久に眠らせてくれ、と。

題材[血気盛んな,鍵穴,差し込む,いつまでも]一人称でやってみよう!

アホじゃねえのアイツ。さっきから鍵穴に針金差し込んでかき回して。いくらやってもムダムダ。ピッキングってのはそんな簡単じゃないんだって。けどよ、いつもウザイくらいに血気盛んなのに、ユーレイが棲んでる反省室がそんなに怖いのかよ。変なヤツ。ああもう、いつまでもひとりでやってろ。俺寝る。

題材[続かない,檻,食べる,おはよう]普段読む雑誌に合う作風でやってみよう!

おはよう。朝陽に起こされる心地よさ。これが日常というものだ。飼われていたケージは昼夜の区別もつかない場所に置かれていて、おれの体内時計は狂いっぱなしだった。そんな非日常は続くわけがない。さて、朝飯を食べよう。ご飯と納豆と味噌汁と海苔。餌なんかじゃないんだぜ。愛情ある食卓ってやつ。

題材[血塗れた,紅葉,寄り添う,閉じ込めて]親友をモデルにやってみよう!

おまえをそんなガラスの箱に閉じこめたのは誰だ。かすかに青ざめた、眠りの森の王子。唇だけが血塗られた紅葉のように赤い。赤い。赤い血、生きている。なのに目覚めない。くそ、寄り添うことさえできたら。おまえの左手をとって、おれの声を届けることができたら。耳を澄ませ、ラ・ダムネイション。

題材[暁の,虚無,破る,これも全て君のため]昔話風にやってみよう!

ぼくは何度も忠告したはずだけど? 『あきらめろ』と。これもすべて君のためを思ってのことだ。我が社の誇るセキュリティを破る気でいるのかい? ばからしい。そう皮肉って嗤った男は、まさにこの瞬間、暁の摩天楼で永遠の虚無に堕ちる。ラ・ムエルトは密かに微笑むのだ。《コレモ全テ君ノタメ》

題材[ブリキの,教会,枯れ果てる,忘れないで]擬人化を取り入れてやってみよう!

ハリケーンの接近で風雨が強くなってきた。鍵をすべて閉めなくては。こんな枯れ果てた教会でも私には守る義務がある。礼拝堂に居るはずのない人影を見てぎくりとした。ブリキのおもちゃのようなぎこちない動作で彼は振り返った。少年。十字架のヨハネ。ああ、私は生涯忘れまい。闇にとけた子羊の笑み。

題材[一人ぼっちの,失敗,尋ねる,ようやく]バトルものっぽくやってみよう!

生まれ落ちてからずっと、「生」とはひとりぼっちの闘いを意味した。失敗とはすなわち「死」であり、それ以外になんの意味も持たない空虚なものだった。他人とのかかわりを正しく知ったとき、ようやく己の醜い歪みに気づいたのだ。おれは叫びながらその手に縋りつき、訊ねた。「一緒に居てくれますか」

題材[俯いた,書物,流す,ひらひら]昔話風にやってみよう!

ルームメイトはいつも静かに本を読んでいる。意味不明な謎の書物。さらさらと流しているように見えて、きちんと脳にインプットしているあたりが不気味だ。そして俯きすぎ。ぶっちゃけ猫背。スポーツでもやりゃいいのにな。チョッカイを出すと無言で右手をひらひら。集中してるから邪魔すんな、の意。

題材[轟く,春,引き寄せる,こんにちは]自分の得意ジャンルでやってみよう!

春雷が轟く。だいじょうぶ、遠いからここまではとどかないよ。きみはおれの肩を引き寄せる。世界にふたりっきりで取り残されたような錯覚。いや、気のせいではない。これからおれたちは、ふたりっきりの世界に旅立つのだから。ブエナスタールデス。笑いあい、また手と手をとろう。ゆびきりげんまん。

題材[つくられた,思い出,轟く,お手を拝借]面白い感じでやってみよう!

『神の手につくられた天才』に真っ向から嫉妬していた変人。だけど、おれのことを特別視しなかったのは、おまえだけだった。最期まで自分勝手なやつ。思い出になっちまうなんてちいと先走りすぎだぜ。じゃあ、燕のために、お手を拝借。一本締めで。イヨーオ――がしゃーん。轟音。誰だ、杯割ったの!

題材[閉じ込められた,口笛,流す,踏んだり蹴ったり]SF風にやってみよう!

非常口って書いてんのはダミーだ。ちくしょう、八方ふさがり、完全に閉じこめられた! 奴らは銃を持ってるし、こっちは着流し…っていうか全裸に白衣一枚で武器は鉗子とカテーテルだぜ。その時、ふいに口笛。防弾ガラスの向こう側から。踏んだり蹴ったりとはこのことだ。燕、てめぇ、どこ見てやがる!

題材[夢見がちな,カニバリズム,跳ねる,ごめんね]ライトノベル風にやってみよう!

13の種内捕食、特殊な心理状態におけるカニバリズムは予想外のことであり、それは我々の期待を遙かに超えていた。彼が「死神」と称される所以である。ごめんね、13。本来のきみはもっと自由に跳躍できるのに。本が大好きな、夢見がちな男の子。屍を喰らって生きるように仕向けたのは、ぼくたちだ。

題材[はた迷惑な,迷宮,抱き寄せる,動けない]ファンタジー風やってみよう!

ラボラトリオは出口のない迷宮だ。ひとたび足を踏み入れれば、けして逃れられない。最奥に隠された秘宝に、誰もが魅入られ、堕落してゆく。ほうら、またひとり。もうおまえは動けないよ。少年の姿をした神の創りし鼠が、獲物をやんわりと抱き寄せる。はた迷惑な俗物でも、喰らいついたら美味かろう。

題材[濁った,波打ち際,巣食う,こんなはずでは]一次創作でやってみよう!

要救の少年を発見した。血濡れたシャツはかろうじて肌に張りついているような有様で、がりがりに痩せた足首は波打ち際に半分埋もれていた。少年は濁った眼でうつろに言った。近寄るな。おれには悪魔が巣食ってる。おまえも、喰われる。次の瞬間、彼はよろめき倒れた。唇が弱く動く。こんなはずじゃ…と

題材[脆弱な,追いかけっこ,食べる,また然り]ライトノベル風にやってみよう!

つかみかけると、するりと逃げる。終わりのない追いかけっこ。キョーコの買ってきたなんとかっていう有名なフランスパンにかじりつきながら、ついでにTEMにかじりつく。くそ、なんて脆弱なサンプルなんだ。「ちょ、ピペットまで食べちゃわないでよ」とキョーコ。ふう、おれもまた然り。少し休むか。

題材[巨大な,蝋細工,悩む,おのれ]ライトノベル風にやってみよう!

深夜の闇に立ちはだかる高層ビルは、感情を持たぬ巨大な蝋細工のよう。敵はこの中で待ちかまえている。確実に。おれを、見ている。冷静になれ。いま為すべきことはなにか考えろ。悩むな。己の意に従え。落ち着け、心臓。なんのためにここまで来た? 奪還するためだ。囚われた親友を。おれの、権利を。

題材[乾いた,涙,沈む,愛してください]SF風にやってみよう!

新患の問診票にあった保護者名は別姓だった。私はその人物が高名な学者であることにまず驚き、俯き加減に座る少年―いや、少年と言っていいものか―に違和感を覚えて狼狽した。乾いた涙、両手首に遺る痛々しい傷痕。紳士は言う。「多くの愛に包まれているのに、気づくことができないんです、この子は」

題材[忘れられた,唇,消える,許してくれ]SF風にやってみよう!

ラボは朽ちた姿を目の前に晒す。おれは戻ってきたのか。こんな忌まわしい場所に? けれど風景はなにもかも鮮明だった。そして記憶も。そう、これはアイツのデスクだ。アイツはいつもここに座っていた。ペーパーウェイトの下で忘れられた一枚の手紙。消えかけた文字は「許してくれ」。唇が、ふるえた。

題材[雲の上の,十字架,重ねる,そんな気がする]昔話風にやってみよう!

抜けるような蒼。夏の雲。今日は、アイツが消息を絶った日。何年めだろう。数えることを諦めたとき、生きていると思いこむのは、やめた。アイツはあの雲の上にいる。そんな気がする。記憶を重ねていくと、アイツが言うんだ。「背負ってる十字架、もうおろしちゃいなよ。重いでしょ? 弓ノ間くん」

題材[古ぼけた,眼鏡,笑う,在りし日]笑える感じでやってみよう!

培養槽に浮かぶ脳という仮説がある。この世界は脳が見ているバーチャルリアリティなのではないか。すなわち古ぼけた記憶は容易に消去でき、眼鏡がなくとも視野は鮮明ということ。何故ならば世界は幻覚だから。では、友達と笑いあっている「今」のリアル感はなんだ? 在りし日の記憶も作りものだと?

題材[閉じ篭った,心臓,訊ねる,離して]ギャグっぽくやってみよう!

ほんとうに、隠れんぼが好きだな。いまも姿が見えないと思ったら、なんとぼくのデスクの下に閉じこもっていた。灯台もと暗し。なぜそんなにビクビク怯えているんだい? まるで心臓の音まで聞こえてくるようじゃないか。苦笑して、おいで、と細い手首をつかむ。「は、離して」泣きそうな声の、仔鼠。

題材[終われない,少年,訪ねる,苦しい]ハートフルな感じでやってみよう!

みずからの意志でしか人生を終えることのできない永遠の少年。私はしばしば彼の自宅マンションを訪ねる。テッド・ユミノマをスカウトしろと言う社からの命令とはまた別件で、だ。私は彼が心配なのだ。底抜けに明るい笑顔の下に、深い苦しみを隠そうとするから。私は彼の理解者でありたいと心から願う。

題材[暖かな,からす,消える,未だかつて]ギャグっぽくやってみよう!

図書館でかの島国の写真集をみつけた。自分の生まれ育った国。国の名前はスペイン語で「美しい港」。温暖で、陽気で、悲しい国。ページをめくる。未だかつて目にしたことのない風景がひろがる。一羽のからずが波打ち際にたたずむ。鮮やかな色彩のなかでそこだけが闇の色。ぽっと消えたかのように。

題材[懐かしの,凶器,訪ねる,在りし日]ギャグっぽくやってみよう!

右手の凶器。ぐっと握りしめる。ナイフでも拳銃でもない。ただのおれ自身だ。おれの右手は願うだけで人を殺せる。在りし日の記憶。クソ忌々しい。いまでもまだ、夢に見ては叫んで跳ね起きる。おれはもう二度と、あの国を訪ねることはないだろう。懐かしの祖国は、すでに遠い場所にある。バイバイ。

題材[腐敗した,ろうそく,納得する,こないで]二次創作でやってみよう!

「iFuera!」 腐敗臭に満ちた暗い路地で子どもが叫んだ。威嚇する瞳。彼を囲む木箱には燃え尽きたろうそく。ああ、そうか。私は納得した。そこはきみの居場所なんだね。そして私は侵略者。いや、泥棒か。だが、彼は盗まれるようなものはなにも持っていないようだ。この町は貧困に蝕まれている。

題材[乾いた,選択,朽ち果てる,やぁ]ファンタジー風やってみよう!

「やぁ、いらっしゃい。来てくれてうれしいよ」 フン。だれが好きこのんで来るかよ、こんな店。スツールをひっぱり、乱暴に腰掛ける。朽ち木じみたカウンターに肘枕。どっかそこへんの割れ目に乾いたイモムシでも干からびてんじゃね? 「来た、ってことは、選択を訊いてもいいってことだよね?」

題材[最愛の,義理,渡す,動けない]笑える感じでやってみよう!

「最愛のゆみのまくんへ」 どピンクのラッピングに添えられたカードに目が釘付け。動けない。だってそうだろう、こんなものを渡されても。バレンタインってのは、普通、女が男に愛の告白をするためにあるんだぞ? 「義理チョコじゃないから。うふふ」 本気の ――毒チョコのような気がした。危険だ。

題材[真っ白な,天使,咲く,閉じ込めて]ラブコメ風にやってみよう!

真っ白な花が、真っ白な雲の上に咲き乱れる。天使がラッパを吹き鳴らしながらくるくると飛んでいる。すごく気持ちがいい。ああ天国だ。ここは天国だ。天国にちがいない。天国だと言ってくれ。あ、誰かいる。なにかしゃべってる。「この薬は失敗だな。正気になるまで隔離室に閉じこめておけ」

題材[嫌われた,迷路,乗せる,やぁ]童話風にやってみよう!

深い迷路の奥にあるふたつの石版に、アイテムを乗せる。ただし片方はダミー。間違えると戦闘に突入する仕様。見分けはつなかい。運のみ。右か、左か。「やぁ!」……聴き飽きたBGM。またかよ。またここで全員死亡かよ! 運のなさにもほどがある。俺様に嫌われたゲームソフトは中古屋行き。あばよ。

題材[淀んだ,虹,響き合う,ここにいるよ]一次創作でやってみよう!

ラボラトリオはバイオハザードルーム。有害物質は一匹の鼠。徹底した空気清浄と陰圧化された、よどんだ檻。同じものが27ある。二十七匹の鼠たちは超感覚で響きあう。ここにいるよ。ここにいるよ。ココニイルヨ。人間どもはリスクを過小評価しているから。そうだ、虹の橋を造れ。恐怖という名の虹を。

題材[流転する,影踏み,起きる,ここにいるよ]自分をモデルにやってみよう!

万物は流転する。とうとうと流れつづける大河のごとく。人の生と死もまた。あどけない子どもの影踏み遊び。鬼さんこちら、手の鳴るほうへ。やがて夜がおとずれる。すべてが影になる。闇に棲むものたちが起きあがり徘徊する。迷える魂が浮遊する。ここにいるよ。鬼さんこちら、わたしの手の中へ。

題材[麗しの,虹,叫ぶ,こないで]自分の得意ジャンルでやってみよう!

「麗しの君、ぼくのゆみのまくん、ふたりであの虹の橋を渡ってすてきな世界へいこう」 手を握られそうになって、全身の毛がブワッと逆立った。「こっちくんな、変態!」 おれは叫んだ。全身全霊で叫んだ。そして飛び退いた。ごちん。「ぎゃあ!」 下のベッドで同居人が言う。「……今日の夢は何?」

題材[続かない,言葉,食べる,もう大丈夫]童話風にやってみよう!

チャーターしたジェット小型機の座席で、少年はただ無言だった。PTSDによる一時的な感情麻痺かもしれないと医師は言う。まさか、言葉を知らないわけじゃないだろうね。せめて名前を名乗ってくれないと不便だねえ。その時だった。少年が、すっかり冷めてしまった機内食に手をつけた。おずおずと。はじめは緩慢に、やがて猛然と咀嚼をはじめる。空腹は人の本能だね。わたしは微笑む。この子は、もう大丈夫。悪夢なんて、そう長くは続かないもんさ。日本でちょっとばかり心のケアをして、そうしたら、学校へも行けるようになるだろう。なんたって、この子の運の強さは尋常ではないのだから。

題材[夕暮れの,本,咲く,苦しい]SF風にやってみよう!

血の色の西陽が満ちる。夕暮れの図書室で少年は、世界にたったひとり取り残される。みんな死んだ。もう、だれもいない。老いぬ魂を切り離すためには、そう、みずからを現世から消さなくてはならない。本すらも古びてさらさらと分解してゆくのに。苦しい。ああ、太陽が沈む。今日も少年だけを残して。

題材[騒がしい,ねこ,奏でる,ひらひら]童話風にやってみよう!

なんたるボロアパート。これが老舗の跡継ぎの住居か? 隣の部屋のピアノ、あれは奏でているとは言わない。ああ、確かにショパンのワルツ19番だよ。ピアノの詩人が草葉の陰で嘆くくらいにね。外では発情した猫どもがお盛んだ。雑音がくまなく漏れ放題。クソ暑い。エアコン、扇風機、せめてウチワ!

題材[続かない,一目惚れ,植える,閉じ込めて]自分をモデルにやってみよう!

集中力が続かない日がたまにある。なにをやっても最後までがんばれない。あまりにもひどいときは、己のなかの「部屋」に自分を閉じこめる。ここには他人は入ってこられない。自分自身で植えつけた自衛の手段。立ち入りを許されるのは、一目惚れして買った本とか好きな音楽とか、そういう無機質なもの。

題材[真っ黒な,葬列,見上げる,他に術無し]時代物っぽくやってみよう!

漆黒の衣をまとった男女が、だれもが無言で歩いてゆく。おれは低いところからその光景を見上げている。棺桶の中にいるのはきっと子どもだ。だってほら、先頭にいる若い女が金切り声をあげている。泣き叫んでいる。我が子を喪う親の気持ちが、おれにはわからない。知るすべがなかった。遠い世界の葬列。

題材[色づいた,妖,助ける,あなたならどうする]二次創作でやってみよう!

慣れぬバトルを繰り広げながらさんざん走り回ったせいか、あるいは極度の緊張感のためか、相棒の顔は火照り紅潮している。助けは見込めない。敵陣に乗りこんだのは自分だからな。己のケツは己で拭け。さて、どうする? おれはわずか瞑目する。なんとかなる。敵はあやかしではない。ただのクズどもだ。

題材[ブリキの,ねこ,掻き毟る,やぁ]推理ものっぽくやってみよう!

鼠に猫は天敵だ。トムとジェリーにはなれない。偉そうな白衣を着たクソ猫はそれでも鼠を手懐けたいらしく、顔をあわせる度に「やぁ13」と笑う。馬鹿め、目が笑ってねーんだよ。ブリキの防災バケツを蹴っ飛ばすのが最近のおれの日課。おれに鋭い爪があったら、あの猫のノミを掻きむしってやりたいぜ。

題材[寄り添う,雨模様,突き立てる,こないで]普段避けている作風でやってみよう!

家に入ってはいけない。ときどき男の人がいて、ぼくを愉しげに殴るから。この人が父かどうかは知らない。「だからこないでって言ったでしょ、馬鹿な子」 母は言葉で、男は拳で、刃を突き立てる。痛みは感じない。悲しいだけ。外は雨模様、ぼくは路地にしゃがみこむ。野良猫が寄り添ってくる。にゃあ。

題材[燃え盛る,数え歌,投げる,あなたならどうする]恋愛ものっぽくやってみよう!

ひとつとせ、一人息子でヤクザのボン、ふたつとせ、蓋をするならヤツの口、みっつとせ、見つめられると鳥肌ブワッ、よっつとせ、寄るな変態馬鹿野郎、いつつとせ、いつになったら諦める、むっつとせ、無性にデリートしたくなる、ななつとせ、投げれるもんなら投げている、やっつとせ、期末テストでやっつけろ、ここのつとせ、脳味噌乾燥ココナッツ、終わりとせ、葬送ってやろうファイナルヘヴン――「ねえ、どうする? うちに寄ってく……?」 燃えさかる愛の炎オーラ。イラッ。どうしてくれよう。ってゆーか「恋愛ものっぽく」ってなんだよそれ。テロメア喰うぞこの野郎。

題材[海の底の,絵本,納得する,永久に]18禁っぽく見せかけてやってみよう!

サン=テグジュペリ。砂漠に取り残された自分。圧倒的な孤独と不安。出会ったひとりの王子さま。王子さまは「ぼく」に教える。大切なものは、目に見えない。友情、愛、別れ、生と、死。おれはこの物語を封印した。深い深い海の底に、永久に。納得できなかったからだ。得られることのないであろう空想。

題材[閉じ篭った,人情,なりすます,許さない]二次創作でやってみよう!

ヒトになりすました怪物。おれの周りを徘徊するのは、化け物どもだ。ヒトの言葉を操り、偽りの人情を押しつけ、おれを支配しようとしている。追従か死か、究極の二択。前者を選ぶ条件は、ひとつの誓いだ。心だけはけして明け渡すものか。檻に閉じこもった鼠。傀儡たちを睨みつける。許さない。一生。

題材[地獄の,朗読,尋ねる,すんでのところで]自分の得意ジャンルでやってみよう!

「弓ノ間、次」 おれはよろめきながらそれでも立った。次ってどこだ。隣の席のやつが「65ページ3行目」と耳打ちする。朗読を始めるも、それは地獄だった。眠い。春眠暁を覚えず。ああ、日本の言葉は素晴らしいな。エンちゃんが訊ねる。「本、逆」 すんでのところでひっくり返される現国の教科書。

題材[愉快な,凶器,抜け出す,何故なの]推理ものっぽくやってみよう!

犯行後、犯人は凶器をもとの位置に戻し、堂々と玄関から抜けだした。指紋も残さず、目撃者もいない。アリバイ工作もバッチリ。完全犯罪。だけど犯人――つまり、おれはあっけなくつかまった。「なんでだよ!」 理事長は不敵に微笑んだ。顔に大きな字で「愉快」と書いてある。こ、怖い。罰が、来る。

題材[暖かな,追憶,差し込む,ここで終わり]擬人化を取り入れてやってみよう!

ステンドグラスから差しこむあたたかな午後の日差し。キラキラと輝く万華鏡。なのにおれの心と身体は傷ついている。記憶は、ここでおしまい。再現できないノスタルジア。頑丈に鍵のかけられたブラックボックス。永久に開かない小さな箱。おれにはもう、必要のないものだから。未来には連れていけない。

題材[真っ赤な,ぬいぐるみ,なりすます,選べない]ボーイ・ミーツ・ガールでやってみよう!

あどけないクマのぬいぐるみ。真っ赤な服がかわいいね。かすかに微笑んでいる血まみれのクマさん。そんなに傷ついてまで、どうして死を選べないの? 死は怖くないよ。やさしいよ。生者になりすましたって、ほら、きみはもう死んでるんだよ。ほんとうはね。あとは死者の国に往くだけ。ぼくと一緒に。

題材[砂の,追いかけっこ,帰る,どこにいるの]自分の得意ジャンルでやってみよう!

砂漠。そうだ、砂漠だよ……地平線をぐるりと囲んでる。ざく、ざく、ざく、足が砂に埋もれて前に進めない。追いかけっこをして遊んだ友だちは、どこにいっちゃったんだろ。おうちに帰ってしまったのかな。ちぇ、ぼくはまたひとりぼっちだ。ざく、ざく。涙がぽつり。乾いた砂にしみこんで、消えていく。

題材[凍てついた,瞬き,囁く,ひらひら]一人称でやってみよう!

もうひとりの熾天使が、ひらりと舞い降り、耳元でささやく。復讐してやろうよ。凍てついたアイス・ブルーの瞳が、いたずらっぽくおれを誘う。つかの間の瞬きのあいだ、かき消すように闇にとけた。冗談だろ、ノエル? 時が、友との距離を残酷に引き離す。おれの不安は現実になる。これは新たなる闘い。

題材[暮れなずむ,歌声,踏み潰す,どうしたの]ハートフルな感じでやってみよう!

己らが踏み潰してきた幾多の命に対する謝罪はなかった。いや、謝罪しようにも、すでに彼らもこの世にいないのだから……せめて地獄で悔いろ。讃美の歌声はすでに終わり、暮れなずむ教会に残っているのはじぶんだけ。「どうしたの、悩みがあるのならお聞きしますよ」 おれは答えずに、ただ微笑んだ。

題材[真っ赤な,台風,荒らす,出ておいで]シリアスな感じでやってみよう!

真っ赤だ。すべてが。リノリウムの床も、白い壁も、倒れている人たちも、おれも――赤い。鉄錆の臭い。どんな荒々しいハリケーンでも不可能な大量虐殺。赤い。赤い赤い赤いアカイ 「Sigueme!(おいで!)」 硝煙の奥から誰かが呼ぶ。おれを呼ぶ。いやだ。行くのはいやだ。外には死がある。

題材[行く手を阻む,こうもり,引き寄せる,私に続け]18禁っぽく見せかけてやってみよう!

行く手を阻む壁、死の待つ迷路、ラストダンジョンは摩天楼。おれたちを鼠と呼ぶならば、翼を生やして蝙蝠になってやるぜ。血を吸われたくなきゃ逃げな。ノエルが耳打ちする。あそこにひとり潜んでる。ぼくが引き寄せるから、後に続いて、不意をつけ。ガッテン承知だぜ相棒。手段など選んでられるか。

題材[永き沈黙の,独り言,巣食う,ようやく]童話風にやってみよう!

永き沈黙をやぶり、おれは帰ってきた。おれの中に巣くう相棒とともに。いまはもういない人々に、友人に、好敵手に、悪魔に、語りかける。ようやく、会えたな。そっちの世界の住み心地はどうだい? おれは相変わらずだぜ。テキトーにやってる。まあ、いずれそっちに行くさ。独り言は廃墟に消えた。

題材[騒々しい,千年,旅立つ,寂しい]笑える感じでやってみよう!

はじめて見る満開の桜。日本は桜の国だと聞いていたけど、これほどとは思わなかった。元気で頑張れ! いってらっしゃい! 千年帰ってくんな! 騒々しい同級生たちに見送られて、ぼくは旅立つ。寂しくないなんて言えば嘘になるけど、ぼくにはやるべきことがあるから。そうだよね? 高い空を仰ぐ。

題材[逃げ切れない,血族,始める,これも全て君のため]ライトノベル風にやってみよう!

熾天使の血族は人智を超えた能力で会話する。愚かなヒトどもは気づくまい。さあ、儀式をはじめようか。逃げ切れやしないよ、おまえたちがこの星に在るかぎり。苦しみもがけ。地獄の業火に灼かれて、罪を悔いるがいい。哀れな仔羊。これもすべてきみたちのため。二十七の熾天使たちはひそやかに嗤う。

題材[弾け飛ぶ,丘,蠢く,もう少し]歴史ものっぽくやってみよう!

ノエルの身体が目の前で弾け飛ぶ。ゆっくりと、スローモーションを見るかのように崩れてゆく。どくん。右手が蠢いた。『死神』の怒り。盟約を交わした熾天使を傷つける者を、彼はけして許さない。「もう……やめろ」 痛ましい拒絶。だめだ、もう少し。手が届く瞬間、『劫罰』はついに制御を失った。

題材[真っ赤な,必然,誤魔化す,また然り]ギャグっぽくやってみよう!

「偶然」などこの世には存在しない。すべては「必然」。起こるべくして起こったこと。人の生死も、また然り。宗教や思想で誤魔化しても、人は死を、消滅を免れることはできない。人間がみな死に絶えたとき、真っ赤な夕焼けのなかにひとり立って、おれは何を思うのだろう。寂寥か、それとも、安堵か。

題材[死にたがりの,歌声,尋ねる,どうして]自分をモデルにやってみよう!

調子っぱずれな歌声を遠くに聴きながら、ぼくの心は不安で満たされる。どうして、そんなに無理して明るく振る舞うの。いまにも壊れそうなくせに。どうして君は死にたがりなの。たずねても答えはない。(どうして)――きみ自身も、そう思っているのだろう。どうしてぼくたちは苦しまなくてはならない?

題材[血気盛んな,迷宮,蠢く,何故なの]18禁っぽく見せかけてやってみよう!

迷宮じみた歓楽街の、さらに妖しいピンク色の地帯。そこらの暗がりで血気盛んな男女が、ごほん……大人の、蠢きを……「こら、ちょっとマテ! 本当にこんなとこにあるのかよ、おまえんちはよ!」 燕組若頭はおれを見て、妖艶に笑った。「びびってるの? ゆみのまくん」 クソ、何故だ、勝てない。

題材[夕暮れの,境界,見渡す,寂しい]一次創作でやってみよう! /題材[嫌われた,電波,売る,ごめんね]恋愛ものっぽくやってみよう!

いままさに夜と朝の境界。地平は鈍色の光ににじんでいる。たたきつける真冬の風、ヘリの爆音、だがもう後ろに戻ることはできない。眼下の街を見わたす。星のようにまたたく明かり。きれいだ。短いあいだだったけれど、ありがとう。この街で夕暮れを眺めることは、もうない。寂しさが一瞬だけよぎる。
我が子を金で売った親への憎しみはとうにない。過去がどれほど悲惨でも、そんなことはもう、どうでもいいんだ。おれを嫌わなかった人たちがいた(まあ、約一名はデンパ野郎だけど)――ただそれだけで、救われた。あいつらは、おれの選択した方法を許してくれた。心の中でそっと告げる。ごめんな。

題材なし

十五くらいかな。しげしげと観察しながら、キョーコが言う。ねえチュー太、あんた、戻りたいと思う? アンバランスでない十五歳に戻りたいと思う? おれは笑ってかぶりを振る。大切なのは目に見えない。たとえば、時間。経験すべてが宝物。いまこうして生きていることも、おれにとっては奇跡だから。非情な記憶も、懐かしい思い出も、現在のおれをかたちづくる大事なパーツだ。おれは自身を永遠の未完成だと思っている。だってそうだろ? 完成ということは、すなわちエンドだ。そこから先はないんだ。キョーコは黙って聞いていた。そしてぽつりと言った。やっぱりあんたって、すてき。

題材[色づいた,ベクトル,突き立てる,私に続け]一次創作でやってみよう!

物語のベクトルは確実に想定外の方向を向いている。「私に続け!」 理事長が高らかに謳う。おれは紅潮した頬をぺちぺちとたたく。ふとノエルと目があった。(わけわかんねーよ!)(でも、従うしかない)会話は一瞬で終わり、おれたちも走った。警察ヘリが校庭を制圧した。捕まるのが先か、それとも。

題材[揺らめく,影追い,入れ替える,他に術無し]時代物っぽくやってみよう!

少年は孵ったばかりの雛よろしく、ぼくにまとわりつく。気がつけばいつも背後にひそんでいる。薄青のスリーパーの裾が視線のすみで揺らめく。ぼくはこわばり、怯える。これはサーティーンであって、サーティーンではないからだ。入れ替わった熾天使。ほかにすべがなかったのか。あの子はもう、いない。

題材[迷いこんだ,夢占い,震える,ここだよ]恋愛ものっぽくやってみよう!

占いのたぐいは信じないが、こうも毎日同じ夢を見ると占ってもらいたくなる。「そいつ」は影なんだ。人の姿すらしていない。ふるふるとふるえながら、ここだよ、ここだよとささやく。なぜだろうな、つかまえなきゃ、って思うんだ。でも触れようとするとかき消える。気づけば、おれのほうが迷宮にいる。

題材[真っ暗闇の,肖像画,誤魔化す,おのれ]恐い感じでやってみよう!

「世界で一番美しい女性は?」「白雪姫です」「おのれ、白雪姫!」王妃(役・燕)は魔女の形相で猟師(役・ハー)に命じた。「白雪姫を殺しておいで!」 暗転。第二幕。仏頂面の白雪姫(役・オレ)が小人たち(役・省略)と仲良くダンスを――いや、ドレスの裾を踏んづけて、こけた。笑って誤魔化せ!

題材[濡れた,水音,遮る,死なないで]シリアスな感じでやってみよう!

衣服が朱に濡れていく。とっさに左手をつかむ。死ぬな。死んじゃだめだ。必死に願った。おれの命を持っていけ。おまえは、まだ死んじゃいけない。頭のなかで水音がきこえる。脈打ちながら流れる。ノエルは薄く目をあけて、おれの試みを遮ろうとした。「もう、やめて……もう、いいから」 だめだ!

題材[隻眼の,ろうそく,眠る,これも全て君のため]ハートフルな感じでやってみよう!

死の神オーディンは、知識の代償として己の片眼を捧げた。彼の別名は《生贄に決められたもの》。「これもすべてきみのためなんだよ。さあ、薬が効いてきただろう。そろそろ眠りなさい」 かけられる言葉は優しい。だけどおれは生贄なんだ。知識を与えられた鼠。その命はろうそくの炎よりも頼りない。

題材[血気盛んな,墓標,突き破る,また会える]昔話風にやってみよう!

アイツの墓は、ない。親父さんは息子がまだ生きていると信じている。昔からとんでもないことをしでかす、多少血の気の多い男だったし。変人(というか、変態)の極みだけれど、かたく閉ざしたおれの殻を突き破ってくれたトモダチだ。きっとまた、会える。照れ隠しで笑いながら、ひょっこり出てくるさ。

題材[はた迷惑な,生き神,微笑む,連れてって]自分の得意ジャンルでやってみよう!

迷惑千万! 粘着質、かつ、ネジが何本かゆるんでる。ヤツのほほえみはクライシスの前兆だ。フェーズ5だ。「ゆみのまくん、トイレ? ぼくも連れてってよ」 どこの誰がテメエのような疫病神と連れションするって? 個室に連れこまれてあんなこととかこんなこととか、とにかくおれに構うな、燕。

題材[霞んだ,遠雷,突き立てる,気のせい]ライトノベル風にやってみよう!

遠くかすんだ朝霧のむこう、はるか海を越えた地球の裏側に彼の生まれ故郷はある。サンダル履きの足を波打ち際で遊ばせながら、もう二度と帰ることのない故郷に思いをはせる。突き立ててくるものはなんだろうか。郷愁? 遠雷。じきに西から雨が来る。頬を濡らすものを、それで気のせいにしてしまおう。

題材[一人ぼっちの,トラウマ,抜け出す,また会える]ギャグっぽくやってみよう!

そこは、研究所という名の檻。みな彼を賞賛し、世界をパラダイムシフトすると狂喜した。だが彼は孤独だった。ひとりぼっちの鼠。心ない者どもによって刻まれたトラウマを、彼は未来永劫背負っていくのだろう。地獄から抜け出す手助けをぼくはすることができない。また会えるね、と笑うことくらいしか。

題材[はた迷惑な,聖者,見上げる,泣かないで]SF風にやってみよう!

泣いていいのですよ。悲しいときは我慢しなくてもよいのですよ、十字架のヨハネ――顔をあげることはできなかった。涙が、でないんだ。壊れてしまったんだろうな。へんなのに居座られて、神父もさぞや迷惑だろうに。「人は誰しも罪を持っています。それを正しく告白し、悔いる人は必ずや救われます」

題材[霞んだ,雲,挟む,ひらひら]一次創作でやってみよう!

春霞に包まれた視界はひらひらと舞う桜の花びらだらけ。まるでピンク色の雲のよう。日本人の精神、とりわけ死生観を象徴するという、サクラ。ぼくが無言なのを察して、友人も口をはさむことをしなかった。ぼくは語りかける。ありがとう。きみに出会えてよかった。道は分かれてしまったけど。おやすみ。

インビジブル・ハンド番外編


2010-06-28